後払い決済サービスを手がけるスウェーデンのクラーナは6日、米投資会社ドラゴニア・インベストメント・グループなどから新たに4億6,000万ドルを調達したと発表した。これで同社の企業価値は55億ドルに達し、フィンテック分野のスタートアップ企業としては欧州最大手に浮上した。クラーナは調達資金を活用して米国での事業拡大を目指す。
2005年創業のクラーナは14カ国で約13万の事業者に後払い方式の決済ソリューションを提供している。クレジットカードを持たないミレニアル世代が主なターゲットで、約6,000万人の顧客を抱え、取引件数は1日当たり約100万件に上る。顧客はeコマースサイトで商品を購入する際、クレジットカード情報やパスワードを入力することなく、メールアドレスと郵便番号だけで決済サービスを受けられる。クラーナは顧客の支払い履歴などをもとに与信審査を行い、問題がなければ事業者に代金を支払う仕組み。顧客はクラーナからの請求に基づき、選択した方法(即時/一括/分割払い)で代金を支払う。
クラーナは特にアパレル分野に強く、H&M、アバクロンビー&フィッチ、アディダス、ナイキなどの有力ブランドが同社のサービスを導入している。このうちH&Mは昨年、クラーナと資本面を含む提携関係を結んだ。また、今年1月には米国の人気ラッパー、スヌープ・ドッグがクラーナへの出資を発表し、同社の広告キャンペーンにも登場した。米国では過去1年にクラーナの顧客が600万人増え、導入企業も急速に増加している。
ドラゴニアが主導する今回の資金調達にはオーストラリアのコモンウェルス銀行、米投資顧問会社HMIキャピタル、資産運用最大手の米ブラックロックブラックロックなどが参加した。