VW:ポルシェ、次世代センサーのスタートアップに出資

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は21日、高級車子会社ポルシェがセンサーを手がけるイスラエルのスタートアップ企業トリアイに資本参加したと発表した。トリアイは従来の車載センサーでは対応しにくい環境下でも車両の周辺環境を正確に認識できる技術を持つことから、ポルシェは先進運転支援システム(ADAS)や自動運転機能の向上につながると判断。ベンチャー投資部門ポルシェ・ベンチャーズを通じて出資した。

トリアイはテルアビブに本社を置く企業で、2017年に設立された。短波長赤外線(SWIR)を利用した次世代センサーを開発している。SWIRセンサーは夜間や、霧・雨・ほこりなどの悪天候下でも対象物を把握する能力が高く、宇宙や軍需などの分野で活用されている。ただ、コストが高いという問題があり、民生分野ではあまり普及していない。

トリアイは同センサーの生産コストを大幅に引き下げる特許技術を持っており、これを通じた低価格SWIRセンサーの開発を目指している。

車載センサーには現在、レーダー、レーザー、カメラが用いられている。これらのセンサーは悪天候下で環境認識能力が低下することから、自動運転車のテスト走行は主に天候条件が恵まれた米カリフォルニア州などで行われている。SWIRセンサーを投入できるようになれば、ADASや自動運転機能が向上することから、トリアイには大きな期待がかけられている。

同社は今回、米半導体大手インテルとイスラエルのベンチャーファンド「グローブ・ベンチャーズ」、ポルシェの3社から総額1,900万ドルの資金を調達した。ポルシェの出資額は200万ドル。

ポルシェは2017年、人工知能(AI)分野のスタートアップ企業であるイスラエルのアナゴグに資本参加した。トリアイはイスラエル企業に対する2件目の出資となった。

上部へスクロール