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英首相が10月中旬まで議会閉会、「合意なき離脱」反対派を封じ込め

英国のジョンソン首相は8月28日、議会を9月9日の週から約1カ月間にわたって閉会することを決め、エリザベス女王の承認を得た。EUからの合意なき離脱を阻止しようとする野党の動きを封じるのが狙い。離脱をめぐる審議の時間が大幅に短縮され、強硬離脱を推し進める首相の方針に反対する勢力の抵抗が限られることになり、合意なき離脱の可能性が一層強まってきた。

ジョンソン首相の決定は、野党各党が合意なき離脱の阻止に向けて共闘することを受けたもの。最大野党の労働党、自由民主党、スコットランド国民党(SNP)など6党は27日、合意なき離脱を回避するため結束することで合意し、離脱期限の延期をEUに要請するよう首相に義務付ける法案を提出すると発表していた。

ジョンソン首相が率いる与党・保守党は下院で、閣外協力する政党と合わせても、野党勢力との差はわずか1議席となっている。保守党内でも合意なき離脱に反対する議員が多く、離脱延期法案は賛成多数で可決される可能性がある。

英議会は9月3日に休会が明け、再開されることになっており、野党側は同日にも緊急審議を要請し、同法案を提出する予定だった。

これに対してジョンソン首相は、9月9日の週から10月13日まで議会を閉会することを決定。14日にエリザベス女王による施政方針演説が行われてから、審議が再開される。離脱期限となっている10月31日まで2週間程度しかなく、離脱をめぐる審議の時間が大幅に短縮されることになる。しかも、英の離脱問題が焦点となるEU首脳会議が10月17、18日に開催されるが、同会議に向けた審議の時間は限られる。

EUと合意した離脱案が議会で3度にわたって否決され、政権運営に行き詰まったメイ前首相の後任として7月に就任したジョンソン首相は、アイルランドと北アイルランドの国境問題をめぐる「バックストップ(安全策)」措置を離脱協定案から削除するようEUに要求。これにEU側が応じない場合は、合意がないまま10月31日に離脱すると表明している。

27日には欧州委員会のユンケル委員長と会談し、バックストップが協定案から削除されなければ合意は不可能との主張を改めて展開し、EU側に譲歩を迫った。しかし、EU側は協定案の修正を受け入れない構えを堅持しており、このままでは英経済に大きな混乱をもたらす合意なき離脱に至る。

ジョンソン首相には抵抗勢力の動きを封じ込めることで、合意なき離脱を辞さない姿勢を改めてアピールし、EU側に譲歩を迫るという思惑もあるもようだ。首相は離脱について審議する時間は「十分にある」とコメント。首脳会議で離脱協定案について合意した場合は、議会が審議して可決する時間があり、10月31日までに協定を批准して合意なき離脱を避けることができるとして、抵抗勢力封じ込めとの見方を否定した。

しかし、野党側は「民主主義を破壊し、奪うものだ」(労働党のコービン党首)などとして一斉に猛反発。中立的な立場にあるバーカウ下院議長も「議会閉鎖は民主的な手続きと、国民の代表である議員の権利に反する」と批判した。与党・保守党内からも「極めて反民主主義的な行為だ」(ハモンド前財務相)といった声が出ている。

労働党のコービン党首は8月中旬、合意なき離脱を阻止するため、早期に内閣不信任案を提出するとともに、自らを首班とする暫定政権の発足を目指す方針を打ち出していた。不信任案が可決された場合、与野党の反ジョンソン勢力で暫定政権を発足させ、EUに離脱時期の延期を申請するという戦略だった。

内閣不信任案の可決はハードルが高いことから、とりあえず野党が共闘して離脱期限延期を目指す方針に切り替えたが、議会が再開直後に閉会されることで同法案成立に向けた時間が足りなくなり、目算が狂った。コービン党首は28日、野党側は議会が9月3日に再開すれば、直後に緊急立法措置で議会閉会の阻止を目指すと表明。続いて「ある時点で内閣不信任案を提出するつもりだ」と述べ、徹底抗戦の構えを示した。