ロシアのインターネット大手ヤンデックスが、完全自動運転車の公道実証試験を強化する。開発の迅速化に向け、2022年までに実験車を現行の90台から1,000台規模に増やす。5~7年後にはモスクワで無人タクシーが実用化できると予想している。
ヤンデックスは今年5月に公道実証試験を開始した。モスクワ市で35台、タタルスタン共和国のカザン市で55台を走らせている。通常の条件下では自動運転が可能なレベルまで達しているが、ドライバー無しでも走行できるようにするためには、実証試験で膨大なデータを集める必要がある。
運転が容易な条件下では、すでにカザン市で完全自動運転が成功しており、ヤンデックスのポリシュチュク開発責任者は「5~7年後には、モスクワ市にロボットタクシーが登場し、無人運転は普通のことになる」と予想する。
ヤンデックスのシステムの特徴は、測位衛星に頼らずに走れることにある。米国のGPSとロシアのグロナスを利用してはいるが、衛星なしでも機能するという。センサーやカメラを多く搭載して「人間のように」道路や交通の様子を認識しながら走る。英金融大手HSBCは今年1月発表の調査報告書で、ヤンデックスの自動運転システムを「テスラやグーグルに比肩する」と評価しており、ポリシュチュク責任者は「数カ月後には米国のウェイモ(グーグルの自動運転開発企業)や電気自動車(EV)大手テスラを追い越す」と強気の姿勢を示した。業界専門家によると、半自動・完全自動自動車が世界の自動車生産に占める割合は2035年までに20~35%に拡大する。