欧州委がベルギーの税優遇制度を調査、39社の「超過利益」控除めぐり

欧州委員会は16日、ベルギーが多国籍企業向けに導入している税優遇制度をめぐり、「超過利益(Excess

Profit)」に関する優遇措置の適用を受けていた39社に対する本格調査に着手したと発表した。税務当局と対象企業が事前に交わしたタックスルーリング(租税回避を目的とする取り決め)が域内企業による公正な競争を妨げ、特定の企業に対する公的支援を原則として禁止したEU国家補助規則に違反した可能性があるとして、個別に詳細調査を行う。

問題となっているのは、多国籍企業の特性から生まれる超過利益を算定し、税務当局との取り決めによって法人税からの控除を認める制度。欧州委によると、通常は利益の半分以上が控除の対象となり、9割近くに達するケースもあるという。

欧州委は2016年1月、およそ1年にわたる調査の結果、超過利益に関するタックスルーリングが一部の多国籍企業のみを優遇する違法な国家補助にあたると認定し、ベルギー当局に総額で約7億ユーロの追加徴税を命じた。ベルギー側は決定に従って追徴に応じる一方、EU司法裁判所に決定の無効化を求める訴訟を提起。一般裁判所は今年2月、欧州委は優遇措置の適用を受けた企業が具体的にどのような利益を享受したか調査しておらず、同制度が違法な国家補助にあたることを証明できていないと指摘し、欧州委の決定を無効とする判決を下した。欧州委は判決を不服とし、EU司法裁に上訴しているが、今回はそれと並行して各企業への個別調査に踏み切った。

調査の対象は05年~14年に超過利益に関する優遇措置の適用を受けていた39社。ベルギーに本社を置くビール世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)をはじめ、独化学大手BASF、英石油大手BP、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)、ブリヂストンなどの欧州子会社などがリストに含まれている。

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