欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/8/18

EUその他

金融機関に対する米の制裁で独仏が連携、リスク回避に向けユーロ取引推進を提唱

この記事の要約

仏最大手銀行BNPパリバが米国の経済制裁を受けている複数の国と違法取引を行い、米当局から巨額の罰金支払いを命じられたことを受けて、EUでドイツとフランスを中心に、加盟国が結束して制裁のリスク回避に取り組む動きが出始めてい […]

仏最大手銀行BNPパリバが米国の経済制裁を受けている複数の国と違法取引を行い、米当局から巨額の罰金支払いを命じられたことを受けて、EUでドイツとフランスを中心に、加盟国が結束して制裁のリスク回避に取り組む動きが出始めている。米国の制裁ルールはすべてのドル建て取引に適用されるため、国際取引におけるユーロの活用を推進して域内の金融機関が制裁を受けるリスクを減らすという内容。今後、加盟国の間で議論が本格化するものとみられる。

経済制裁対象国との違法取引に対する制裁ルールを定めた米国の法律は、ドル建てで取引を行うすべての外国企業に適用される。BNPパリバは米国がテロリスト支援や人権侵害を理由に経済制裁を発動しているイランやキューバなどと取引を行ったとして、6月末に89億ドルの制裁金を科された。

独財務省の報道官は4日、ショイブレ独財務相とサパン仏財務相が外国金融機関に対する米国の制裁について協議したことを明らかにし、「両財務相はこの問題で、EUが統一的立場を取ることを望んでいる」と述べた。

一方、仏政府は11月の20カ国・地域(G20)首脳会議で米国の制裁ルールを議題に加えたい考えで、EU加盟国に支持を呼び掛けているとする英フィナンシャル・タイムズの報道に対し、仏財務省高官はこれを否定。そのうえで、欧州企業が米国から制裁を科されるリスクを回避するため、国際取引におけるユーロの地位向上を図る必要があり、EU各国に結束を呼び掛けていると説明した。

米当局は金融危機以降、銀行に対する監視を強めており、制裁対象国との違法取引に絡んで金融機関を摘発したケースは過去5年間で少なくとも22件に上る。BNPパリバに対する制裁金は、制裁対象国との違法取引に関するものとして過去最大、米国による外国金融機関への制裁としても最大規模だ。ただ、欧州ではドイツ銀行や伊ウニクレディトなども米当局による調査の対象となっており、さらに影響が広がる可能性もある。