欧州委員会は4日、米航空機大手ボーイングがブラジルの同業エンブラエルの小型旅客機事業を買収する計画について、市場競争を阻害する恐れがあるとして本格調査を開始したと発表した。EUと米国は欧州エアバスとボーイングへの補助金を巡って対立しており、米側はEUに対する報復関税を今月18日にも発動すると表明したばかり。ボーイングへの本格調査で摩擦がさらに激しくなりそうだ。
ボーイングは2018年7月、成長が見込まれるエンブラエルの小型旅客機事業を買収して商用機部門を統合し、ボーイングが80%、エンブラエルが20%を出資する新会社を設立すると発表した。米当局などは既に同計画を承認しており、ボーイングは年内の手続き完了を見込んでいた。
欧州委は旅客機世界3位のエンブラエルがボーイングに買収されると、ボーイングとエアバスの2強体制がさらに強まり、価格の高騰や航空会社の選択肢が狭められるといった弊害が生じる恐れがあると指摘している。