オーストリアの不動産投資大手シグナ・ホールディングは15日、経営不振の独デパート大手カールシュタットを完全買収すると発表した。買収額は1ユーロと、事実上無償の取引となる。カールシュタットの現オーナー、ニコラス・ベルグラン氏は経営再建のめどが立たないため、カールシュタット・グループから全面的に資本を引き上げる。
シグナはオーストリアの有力投資家レネ・ベンコ氏が率いる投資会社。カールシュタットの店舗を保有しているほか、昨秋にはカールシュタットのスポーツ用品部門と高級デパート部門を3億ユーロで買収した。カールシュタット本体の買収にも以前から関心を示しており今回、念願がかなった格好だ。
カールシュタットは2009年に経営破たんし、ベルグラン氏が10年秋に象徴的な1ユーロで買収した。その後、業績改善に向けて店舗改装などの投資を行ってきたものの、成果は上がらず赤字経営が続いている。
シグナのベンコ氏は37歳の若手実業家。商業学校を中退したものの、自力で現在の地位を築いた。贈賄事件に絡んで執行猶予付きの有罪判決を受けている。