ECBが金利据え置き、ドラギ総裁は退任へ

欧州中央銀行(ECB)は24日に開いた定例理事会で、政策金利の据え置きを決定した。米国と中国の貿易摩擦の長期化や英国のEU離脱などを背景に、低迷するユーロ圏の経済を下支えするため、ECBは9月の前回理事会で3年半ぶりとなる利下げと量的緩和策の再開を決定しており、その効果を見極める必要があるとして現行政策の維持を決めた。

理事会では主要政策金利を0%に、金融機関から資金を預かる際の金利(中銀預入金利)をマイナス0.5%に据え置くことを決めた。昨年12月末にいったん終了していた資産購入プログラムに関しては、11月から毎月200億ユーロの規模で再開する方針を確認した。ただ、航空機補助金をめぐり、米政府が欧州からの輸入品に対して最大25%の追加関税を課す報復措置を発動するなど、貿易摩擦が激しくなる恐れがある。このためECBはユーロ圏経済がさらに減速した場合、追加の利下げもありえるとの方針を示した。

10月末で退任するドラギ総裁にとっては今回が最後の理事会だった。ドラギ氏は2011年11月に総裁に就任。リーマンショック以降の危機対応として、世界の主要中銀で初めてマイナス金利を導入するなど、異例の金融緩和策を推進してきた。8年間の任期中にECBは主要政策金利を1.5%から0%に、中銀預入金利は0.75%からマイナス0.5%に引き下げ、一度も利上げを行うことはなかった。

ドラギ氏は記者会見で「ECBに課せられた使命を果たすため最善を尽くした」と強調。8年間を振り返り、「金融政策の正常化に向けて準備を進めていたが、経済状況が変化して異例の緩和政策を終わらせることはできなかった」と述べた。国際通貨基金(IMF)専務理事を務めた後任のラガルド次期総裁に関しては、「ユーロ圏の金融政策のかじ取り役として、ラガルド氏は何をすべきか完全に理解している。アドバイスは特にない」と述べ、同氏の手腕に期待を示した。

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