中国・復星集団、英トーマス・クックのブランド取得

中国の民営投資会社、復星集団は1日、経営破綻した英旅行大手トーマス・クック・グループのブランドを1,100万ポンド(約15億4,000万円)で取得すると発表した。トーマス・クックの筆頭株主だった復星は、仏リゾート施設運営のクラブメッドを傘下に持つ。世界最古の旅行会社として高い知名度を誇るトーマス・クックのブランド力を利用して、旅行関連の事業拡大を図る。

復星が取得するのはトーマス・クックの商標と事業免許、ドメイン名、子会社のホテルチェーン「カーサ・クック」のブランドなど。海外事業および資産は対象に含まれない。

トーマス・クックは1841年創業の旅行代理店グループ。パッケージ旅行を企画販売するほか、航空会社も運営する。1870年代にはヨーロッパ鉄道時刻表を発刊すると共に、トラベラーズチェックの取り扱いも開始した。ここ数年はオンライン旅行代理店や格安航空会社との競争激化に加え、EU離脱をめぐる先行不透明感から英国人の間で海外旅行を控える動きが広がり、急速に業績が悪化。巨額の債務を抱え、9月にロンドンの裁判所に破産を申し立てた。

一方、復星はカナダのサーカス劇団「シルク・ドゥ・ソレイユ」や仏老舗ブランド「ランバン」、リシャの宝飾ブランド「フォリフォリ」などを保有している。15年にトーマス・クックに出資し、株式の約2割を取得した。同社の経営難を受け、8月には2億ポンドの資金注入で合意したが、株主や債権者はさらに2億ポンドの拠出を要求。再建に向けた交渉は決裂し、トーマス・クックを救済することはできなかった。