セルビア、ユーラシア経済連合とFTA締結

セルビアは10月25日、ユーラシア経済連合(EEU)と自由貿易協定(FTA)を締結した。2015年のEEU発足を受け、ロシア、ベラルーシ、カザフスタンと個別に結んでいたFTAから切り替わる。新たにアルメニア、キルギスとの取引でも関税が軽減されることになる。一方、EUはセルビアとEEUとの関係を「注意深く見守る」とコメントし、今回の協定締結に反対する立場を示している。

新協定により、セルビアで生産されている製品の95.5%は非関税輸出の対象となる。自動車は同対象に含まれていない。

EEUに加盟するロシア、カザフスタン、ベラルーシ、アルメニア、キルギスと、セルビアの2018年の貿易額は34億ドル。うちセルビアによる輸出は11億ドル、輸入は23億ドルだった。EEUがセルビアの貿易に占める割合は輸出で5.7%、輸入で7.9%となっている。

一方、EUはセルビアの貿易の63%を占めており、その重要性はEEUとは比較にならない。このためセルビアはEU加盟を目指しているが、クリミア半島併合を機にEUが発動した対ロシア制裁に加わらないなど、ロシアとの歴史的な関係を維持する姿勢も明確にしている。

ロシアにとって今回のFTAは、実質的な意味は薄いものの、西バルカン地域にロシアが一定の影響力を持っていることを示すシンボル的な意義がある。

EUの欧州委員会は、セルビアがEUに加盟すればEEUとのFTAは無効になると指摘した上で、「セルビアが漸進的に自国の外交政策をEUの共通外交・安全保障政策に沿うよう調整していく」としている。

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