ユーロ圏の19年予想成長率は1.1%、0.1ポイント下方修正=欧州委

欧州委員会は7日に発表した秋季経済予測で、ユーロ圏の2019年の域内総生産(GDP)実質伸び率を1.1%とし、前回予測(7月)の1.2%から0.1ポイント引き下げた。米中貿易摩擦や英国のEU離脱をめぐる混迷などがユーロ圏の景気を圧迫すると見込んだもので、当面は低成長が続くと予想。20年の予想成長率も1.2%とし、0.2ポイント下方修正した。初めて公表した21年の予想成長率も1.2%にとどまった。(表参照)

1.1%という成長率は2014年以来の低水準。欧州委のモスコビシ委員(経済・財務・税制担当)は「欧州経済は緩やかな成長が続き、雇用回復が進み、内需が好調だ」としながらも、貿易摩擦やこれに起因する製造業の経営環境悪化、英国がどのような形でEUを離脱するかが決まっていないことなどから、景気の先行きが「極めて不透明だ」と述べた。

EU28カ国の予想成長率は19年、20年とも1.4%。19年は前回から据え置き、20年は0.2ポイント下方修正した。

主要国の19年の予想成長率はドイツが0.4%、フランスが1.3%、イタリアが0.1%、スペインが1.9%、英国が1.3%。フランス、イタリア、英国は据え置いたが、ドイツは0.1ポイント、スペインは0.4ポイント引き下げられた。

欧州委は低成長、原油安に伴い、消費者物価も上がりにくい状況が続くと予測。ユーロ圏の予想インフレ率は19年、20年とも1.2%とし、前回から0.1ポイント下方修正した。21年も1.3%と低水準にとどまるとみている。

モスコビシ委員は景気底上げに向けて、ドイツ、オランダなど財政が健全で黒字を維持している国による財政出動の必要性を強調した。

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