スペインで10日に実施された総選挙で、サンチェス首相率いる与党・社会労働党(中道左派)は下院(定数350)で第1党となったが、議席を減らし、過半数に届かなかった。一方、極右の新興政党ボックスが躍進し、第3党に浮上した。
スペインの総選挙は4年間で4回目。4月に行われた前回の総選挙で、社会労働党が第1党となったものの過半数には届かず、他党との連立交渉に失敗したことから、やり直し総選挙を迫られた。
社会労働党の議席数は120で、前回から3議席減った。第2党の中道右派・国民党は66議席から88議席に回復。前回に初めて国政に進出したボックスは24議席から52議席に倍増した。急進左派のポデモスは42議席から35議席に後退。第3党だった中道右派の市民党は57議席から10議席に減り、惨敗だった。
今回の選挙では北東部カタルーニャ自治州の独立問題が大きな焦点となり、独立反対のほか反移民を掲げるボックスが支持を広げた。社会労働党および連立候補と目されるポデモスを合わせても135票と、過半数の176に届かなかった。一方、右派も全党を合わせても過半数を確保できない。このため、前回に続いて連立交渉が難航し、政治の空白が続く恐れがある。
スペインでは1970年代以降、社会労働党と国民党による二大政党制が続いていたが、2010年代に入るとポデモスなど新興政党が台頭。安定政権の樹立が困難になっている。