イングランド銀行(英中央銀行)は7日に開いた金融政策委員会で、政策金利を0.75%に据え置くことを決めた。9人の金融政策委員のうち7人は金利据え置きを支持したが、労働市場に変化の兆しが見られるなどとして2人が0.25ポイントの利下げを主張。カーニー総裁を含む複数の委員から、今後の経済動向に応じて利下げを検討するとの見解が示された。
金融政策委は声明で、EUと英政府が新たな離脱協定案で合意し、2020年1月末まで離脱期限が延期されたことで、離脱をめぐる不確実性の低減につながると指摘。英国が合意に基づいてEUを離脱し、その後にEUとの間で自由貿易協定(FTA)を締結するとの中銀が描く「中核的シナリオ」が実現すれば、景気が上向いて国内総生産(GDP)の伸び率が20年の1.2%から22年には2%前後まで加速すると予測。インフレ率も21年末までに2%に達するとして、「緩やか、かつ限定的な利上げ」が必要になるとの見方を示した。
金融政策委はこうした予測を踏まえて金利据え置きを決めたが、議事録によるとソーンダース委員とハスケル委員が利下げを主張した。委員から利下げが主張されたのは、英国のEU離脱が決まった国民投票後の2016年8月以来初めて。両委員は求人件数が減少していることから「労働市場は転換期を迎えつつある」と指摘。世界的な経済情勢とEU離脱に絡んだ下振れリスクへの懸念も表明した。