スペイン金融最大手バンコ・サンタンデールは4日、英フィンテック企業イーブリーの株式50.1%を3億5,000万ポンド(約488億5,000万円)で取得したと発表した。人工知能(AI)などの技術を駆使して先進的な金融サービスを提供するイーブリーの経営権取得を機に、デジタル戦略を推進すると共に、国際的に事業展開する中小企業の取り込みを図る。
2009年創業のイーブリーは19カ国で外国為替取引や決済業務、中小企業向け貿易金融などのサービスを提供している。同社は過去3年間の売上高伸び率が年平均40%超と急成長を遂げている。2018年4月期の売上高は4,370万ポンド、税引き前損益は1,910万ポンドの赤字だった。
イーブリーは新体制でも現経営陣の下で独立を維持し、株式売却で得た資金を利用して中南米やアジアでの事業拡大を図る。サンタンデールは特にブラジルで26%の市場シェアを握っており、イーブリーは同行のブランド力やネットワークを活用し、中南米での市場開拓を円滑に進めることができると期待している。
サンタンデールによると、株式の取得金額(3億5,000万ポンド)のうち7,000万ポンドは新株発行分に相当し、同行では24年までに25%以上の投下資本利益率(ROIC)を見込む。アナ・ボティン会長は「イーブリーとの提携を通じ、これまで大企業しか利用できなかったサービスを中小企業の顧客により迅速に提供できるようになる」と述べた。