英ロンドン交通局は11月25日、米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズに対する営業許可を更新しない方針を発表した。システム上の不備で免許を取り消されたり、保険に加入していないドライバーが客を乗せる可能性があり、利用者の安全を確保できないと判断した。ウーバーには21日間の異議申し立て期間が与えられ、その間は営業を継続できる。
ウーバーは2012年にロンドンで営業を開始。現在は約4万5,000人がドライバーとして登録し、約350万人が同社のサービスを利用している。
ロンドン交通局によると、ウーバーのシステムに不備があり、登録ドライバーのアカウントに別人の写真をアップロードすることができたという。これまでに他のドライバーのアカウントを使って営業する「なりすまし」などが1万4,000件確認されており、その中には免許を取り消されたドライバーも含まれていた。
ウーバー側はドライバーの身元確認を適切に行っていると反論し、異議を申し立てる方針を示している。
ロンドン交通局は2年前にも安全上の理由から、ウーバーに対する営業許可を更新しない決定を下した。しかし同社の意義申し立てを受け、裁判所は事故発生時の報告体制の改善などを条件に、期限付きで営業の継続を許可していた。
ウーバーは世界各地の700を超える都市で事業を展開しているが、欧州では顧客を奪われたと主張するタクシー業界の反発が根強く、これまでにデンマーク、ブルガリア、ハンガリーから撤退している。ウーバーにとってロンドンは欧州で最も重要な市場であり、最終的に営業許可がはく奪された場合、今後の事業戦略に影響する可能性がある。