VWの現行エンジンにも問題、独検察が立ち入り調査

独検察当局は3日、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)への立ち入り調査を実施した。現在販売しているディーゼル車のエンジン「EA288」に違法性がある疑いが浮上しているため。同社は4日の声明で、違法性があった先代エンジン「EA189」と異なり排ガスを不正に操作する機能は搭載されていないと強調した。

EA288は2012年に導入が始まったエンジンで、当初の2年間はユーロ5対応に限られ、14年からユーロ6対応に切り替えられていった。同エンジンに対しては不正ソフトが搭載されているとの疑惑が2015年に浮上。これを受けて独連邦陸運局(KBA)は15年と16年に調査を行ったものの、違法性は確認されなかった。

しかし、その後にVW自らが問題を見つけたことから、2018年12月にKBAに通報。KBAは現在、VWから聞き取り調査を行っている。

VWが見つけた問題は、ディーゼル車の排ガス浄化装置である尿素SCRシステムの触媒が空になったことを警告ランプで知らせる機能が、ごくまれに働かないというもの。同社によると、車両のライフサイクル全体を通して、0.1%未満という極めて低い確率で発生するという。

検察当局はKBAへの通報をVWはもっと早く行えたにもかかわらず、行わなかった可能性があるとして捜査を開始した。同社は通報に遅れはなかったとして容疑を否認している。捜査対象は同社の個々の社員で、VW自体は対象になっていないという。

EA288の搭載車は計400万台に上る。このうち警告ランプが点灯しない可能性のあるのは比較的早い時期に販売したモデルで、現在の新車には問題がないという。フランクフルター・アルゲマイネ紙によると、100万台のケタ台の車両が該当するもようだ。

VWは該当車両のソフトウエアを再インストールして、問題を解決する方針。KBAと対策を協議しており、法的なリコール(無料の回収・修理)または任意のリコールを行うことになる。修理費用は1台当たり50~100ユーロに上るもようだ。

上部へスクロール