ESM機能強化などユーロ圏改革、首脳会議が決定見送り

EUは13日の首脳会議で、欧州債務危機の再発防止に向けたユーロ圏改革についての決定を見送った。遅くとも2020年6月の首脳会議で改めて取り上げる方針を確認し、ユーロ圏19カ国の財務相に対し、欧州安定メカニズム(ESM)の機能強化などについて合意形成を図るよう求めた。

ユーロ圏改革をめぐる議論で最大の焦点となっているのは、ユーロ圏の金融安全網であるESMの拡充。金融危機に陥った国に支援を行うために創設されたESMの機能を強化し、EU内の銀行の破綻処理に活用される「単一破綻処理基金(SRF)」の資金が不足した場合、ESMの資金を銀行救済にも活用できる仕組みを導入するという内容だ。今月5日のユーロ財務相会合ではESMの機能強化で原則的に合意したものの、救済を受けた国の公的債務の再編プロセスに関する条項の改定をめぐって調整がつかず、首脳会議での合意を断念していた。

一方、首脳会議ではユーロ圏共通予算についても協議したが、予算規模をめぐって加盟国間の溝が埋まらず、最終合意に至らなかった。ユーロ圏共通予算の創設はマクロン仏大統領が提唱したもので、英国の離脱でEUの結束が揺らぐなか、ユーロ圏の統合深化に向けた機構改革案の柱として導入に向けた協議が続いている。「収束と競争力のための予算措置(BICC)」と名付けられた共通予算は21年~27年のEU中期予算から拠出され、予算の使い道は圏内の格差是正や競争力強化に向けた投資と構造改革の支援に限定される。

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