ECBが金利据え置き、20年に政策戦略見直しへ

欧州中央銀行(ECB)は12日、ラガルド総裁が11月に就任してから初となる定例理事会を開き、主要政策金利を0%に、金融機関から資金を預かる際の金利(中銀預入金利)をマイナス0.5%に据え置くことを決めた。11月に再開した資産購入プログラムに関しては、緩和政策の効果を高めるため、毎月200億ユーロのペースで安定的に買い入れを継続する方針を確認した。

ラガルド総裁は就任後初の記者会見で、ユーロ圏の成長見通しのリスクは「依然として下振れ傾向にある」ものの、以前と比べると「いくぶん和らいだ」と指摘。「成長減速に歯止めがかかる最初の兆候がみられる」と述べた。

一方、ラガルド氏は2020年1月から03年以来となる政策戦略の見直しに着手する方針を打ち出した。年内に結論を得たい考え。大規模な緩和策を実施しても物価上昇率が目標とする「2%近く」を大きく割り込む状況が続くなか、インフレ目標の見直しやマイナス金利政策の副作用の分析などが検証の柱となる。総裁は「見直しは遅すぎたくらいだ」と述べ、気候変動や格差拡大など幅広い課題への対応を含め、識者や市民団体の代表らから広く意見を求める考えを示した。

ECBは同日公表した最新の内部経済予測で、ユーロ圏の19年の予想成長率を1.2%とし、前回(9月)の1.1%から0.1ポイント上方修正した。20年については前回の1.2%から0.1ポイン引き下げ、1.1%とした。21年は1.4%の予測を維持し、22年についても同じく1.4%と予測している。一方、インフレ率は19年が前回の1.2%を維持、20年は1.0%から1.1%に上方修正した。21年については前回の1.5%から1.4%に引き下げたものの、22年は1.6%に回復するとの予測を示している。

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