EUとスイスの排出量取引制度の連結手続き完了、20年1月に相互リンク実現

EUとスイスは9日、スイスの二酸化炭素(CO2)排出量取引制度をEU域内排出量取引制度(EU-ETS)にリンクさせるための手続きが全て完了したと発表した。2020年1月1日付で完全な相互リンクが実現し、スイスは自国の排出量取引制度をEU-ETSに連結する最初の国となる。

リンク手続きの完了は、EU議長国のフィンランド、欧州委員会、スイス政府の3者がスペインの首都マドリードで開催された国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)で発表した。EUとスイスは2011年に排出量取引制度の相互リンクに向けた交渉を開始。双方は16年1月に連結を実現するための条件で合意し、EU側は17年11月にスイスとのリンク協定を正式に承認した。ただ、相互リンクを実現するにはスイス側が新たに航空部門を排出量取引制度に組み込む必要があり、11月に関連法が改正されたことで全ての手続きが完了した。

欧州委のティーマーマンス第一副委員長(欧州グリーンディール政策総括、気候変動対策担当)は「航空部門を含めたEUとスイスのリンク協定を通じ、国際社会に気候変動の抑制につながるより広範で包括的な炭素市場を創設するという強いメッセージを送ることができる」と述べた。

排出量取引制度に関するEU指令では、京都議定書の締約国またはEUと協定を結んだ国・地域のキャップ・アンド・トレード方式による排出量取引制度とEU-ETSのリンクが認められている。欧州委はEU-ETSと他国の排出量取引制度を連結するメリットとして、排出削減のためのコスト負担の軽減、炭素市場の流動性の増加、炭素価格の安定化、気候変動対策での国際間の協力促進などを挙げている。

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