スペイン下院(定数350)は7日、サンチェス首相の信任投票を実施し、賛成多数で可決した。これによってサンチェス首相の続投が決定。同氏が率いる中道左派の社会労働党と急進左派ポデモスとの連立政権が発足し、約1年に及ぶ政治空白に終止符が打たれる。
サンチェス首相は賛成167票、反対165票の僅差で信任された。第1党の社会労働党とポデモスの議員が支持に回ったほか、一部の地域政党から棄権を取り付け、続投にこぎ着けた。
スペインでは4月に行われた総選挙で社会労働党が第1党となったものの、過半数には届かず、他党との連立交渉に失敗したことから、11月にやり直し総選挙を実施。それでも社会労働党の下院議席数は120と、過半数を割り込んだ。
サンチェス首相は社会労働党とポデモスとの連立政権樹立で合意したものの、両党を合わせた議席は135と過半数を下回る。このため首相は、カタルーニャ州の独立を掲げるカタルーニャ共和左派(ERC)など地域政党に棄権を要請。これが受け入れられ、信任投票をぎりぎりで乗り切った。ERCとの協議では、独立問題について対話で解決するという柔軟な姿勢に転じ、同党が棄権に回ることに合意した。
スペインでは1978年に民主化されてから、保革の2大政党が政権を握ってきた。連立政権となるのは民主化後で初めて。サンチェス首相は8日に正式就任し、昨年4月から続いていた正式政権が不在という状況が解消される。
ただ、連立政権は少数与党で、政権基盤は脆弱だ。ERCとの合意に猛反発する国民党など右派政党が政策決定などで反対に回るのは確実で、難しい政権運営を迫られることになる。