デジタル税めぐり月内に仏米が協議へ、対話と並行で「あらゆる選択肢検討」

フランスが導入したデジタルサービス税に対する米国の制裁関税をめぐり、ルメール仏経済・財務相は7日、妥協点を探るため2週間以内に米側と協議する方針を表明した。1月21日~24日に開かれる世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に合わせて両国の財務相が会談する見通し。一方、米通商代表部(USTR)は同日、ワシントンで公聴会を開き、IT企業の団体などから意見を聞いた。産業界からは制裁関税に反対する意見が相次いだが、USTRは14日まで意見募集を行い、制裁対象や課税率などを決定すると説明している。

フランスのデジタル税は、世界的に活動する多国籍IT企業の課税逃れを防ぐのが狙い。売上高が全世界で7億5,000万ユーロ以上、仏国内で2,500万ユーロ以上のIT企業を対象に、仏国内での売上高に3%を課税するという内容だ。昨年7月に関連法案が成立した。

これに対し米政府は、グーグルやアップルなど同国の巨大IT企業を狙い打ちにした不当な措置として猛反発。USTRは12月初め、フランスのデジタルサービス税が米国のIT企業を不当に差別しているとの報告書を公表し、制裁措置として、最大24億ドル相当の仏製品に最大100%の追加関税を課す方針を打ち出した。シャンパンを含むスパークリングワインやチーズ、ハンドバッグ、ヨーグルト、化粧品などが対象品目に含まれている。

ルメール氏は7日、パリで欧州委員会のホーガン委員(通商担当)と米国への対応策について協議。同問題は世界貿易機関(WTO)の紛争解決手続きによって処理すべきであり、話し合いによる解決を追求する一方、米側が制裁に踏み切った場合に備えてあらゆる選択肢を検討する方針を確認した。

ルメール氏はホーガン委員との協議終了後、ムニューシン米財務長官と電話会談し、両国が経済協力開発機構(OECD)の枠組みに基づいて妥協点を探ることで一致したことを明らかにした。ルメール氏は自国のデジタルサービス税は米IT企業を標的にしたものではなく、OECDが検討している国際的なデジタル課税制度が実現すれば廃止されるものだと説明。異論がある場合は一方的に制裁を発動するのではなく、WTOに仲裁を求めるべきだと指摘し、「誰も米国との通商紛争を望んでいない。しかもこれはフランスの問題ではなく、米国と欧州の問題だ」と述べた。

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