日米欧が産業補助金の禁止対象拡大で一致、中国念頭にWTOルール強化へ

日本とEU、米国の貿易担当相は14日、ワシントンで世界貿易機関(WTO)改革について協議し、産業補助金を規制するルールを強化して禁止対象を拡大すべきだとの認識で一致した。中国を念頭に、共同声明には禁止すべき補助金の対象項目のほか、市場アクセスなどの見返りとして、外国企業に技術移転を強要するといった貿易慣行を規制する必要性も明記した。他のWTO加盟国に賛同を呼びかけ、6月に開かれる閣僚会議での合意を目指す。

会合には梶山弘志経済産業相、欧州委員会のホーガン委員(通商担当)、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が出席した。欧州委は声明で「WTOの構造改革と国際貿易における公平な競争条件の確保は、フォンデアライエン委員長率いる欧州委員会が取り組む最優先課題のひとつだ」と指摘。ホーガン委員は「今回の合意は国際貿易を歪める根本的な問題に取り組む上で重要な一歩になる。同時に、これは日米欧による建設的かつ戦略的な協力体制の象徴でもある」とコメントした。

WTOは輸出補助金と国内産品を優先する補助金の交付を禁止しているが、日米欧は市場を歪める産業補助金に対抗する上で現行ルールでは「不十分」との見解で一致。新たに禁止対象とすべき項目として◇際限のない保証◇破産危機にありながら信頼できる再建計画を策定していない企業への補助金◇過剰生産分野で長期資金や投資を確保できない企業への補助金◇一定の債務の直接的な免除――の4つを挙げている。

このほか日米欧は、WTOに対する補助金の報告制度についても見直しが必要と指摘。大規模な補助金など特定のケースに関しては、交付国が貿易に悪影響がないことを証明する責任を負う仕組みの導入を提言した。

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