英がガソリン車などの販売を35年から禁止、計画を5年前倒し

英政府は4日、国内の大気汚染対策としてガソリン車、ディーゼル車、一部のハイブリッド車(HV)の販売を2035年から禁止すると発表した。従来の計画より5年前倒しの禁止となる。また、新たにガソリンと電気を併用するHVも禁止対象に加える。

政府は17年7月、ガソリン車とディーゼル車の販売を2040年から禁止すると発表していた。HVについては、ガソリン、ディーゼル・エンジンを併用する車種が禁止対象となっていた。

英国は温室効果ガス排出量を50年までに実質ゼロにするという目標を掲げている。5年前倒しは、同目標を確実に達成するのが狙い。第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が11月に英グラスゴーで開催されることを念頭に、英国の地球温暖化対策への取り組みをアピールする意図もあると見られる。ジョンソン首相は電気自動車(EV)の普及が進めば、禁止措置をさらに前倒しする可能性があることを明らかにした。

英国では販売されている新車の90%がガソリン車、ディーゼル車。HVを含めると、現在販売している車の98%が禁止されることになる。自動車業界は35年の販売禁止に向けてEVへのシフトを急ぐ必要がある。政府もEV用充電スタンドの整備を迫られる。

英国ではテスラ、三菱自動車、BMWがEV販売でトップ3となっており、今回の禁止措置を追い風にできる。一方、多くのメーカーは厳しい状況に直面する。英自動車工業会のマイク・ホーズ会長は、「すでに業界が排出ゼロに向けて動き出している」とした上で、政府が「消費者と業界のゴールポストを動かした」と述べ、禁止の前倒しを批判した。

EUではフランス政府が17年、国内でのガソリン車、ディーゼル車の販売を2040年までに打ち切ると発表。19年11月にはスペイン政府が、2040年以降に国内でのガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車の販売を禁止すると発表していた。

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