ジョンソン英首相は13日、2019年7月に就任してから初の本格的な内閣改造に踏み切った。これを機にジャビド財務相が辞任し、後任にスナク財務副大臣が昇格した。首相官邸がジャビド氏に留任の条件としてアドバイザーの解任を要求し、同氏が拒否したことが原因とされる。3月11日に次年度の予算発表を控える中、主要官邸との確執による財務相の辞任は今後の政権運営に打撃となる可能性がある。
今回の改造で閣僚が交代したポストは6つ。ラーブ外相やパテル内相、EUからの離脱準備を担当するゴーブ・ランカスター公領相など、財務相以外の主要閣僚はいずれも再任され、全体としては大方の予想通り小幅な改造となった。一方、EUとの離脱交渉を担当してきたEU離脱省は1月31日付で解体され、バークレイ離脱相はスナク氏の後任として財務副大臣に就任する。また、一部で取り沙汰されていた外務省と国際開発省、国際通商省とビジネス・エネルギー・産業戦略省の統合などは実行されなかった。
地元メディアによると、公共投資の拡充など大規模な歳出拡大を訴える首相官邸側と、財政規律を守りたいジャビド氏の側近らの間で対立が深まっていた。ジャビド氏は記者団に対し、ジョンソン氏が提示した条件を受け入れることができなかったと説明し、「辞任以外の選択肢はなかった」と語った。
ジャビド氏はパキスタン系移民の第2世代で、少数民族出身者として初めて英財務相に就任。メイ前首相の後継を決める与党・保守党の党首選では当初、ジョンソン氏のライバルと目されていた。