伊テレコムとボーダフォンの基地局合弁、欧州委が条件付きで承認

欧州委員会は6日、伊通信大手テレコム・イタリアと携帯電話サービス大手の英ボーダフォンが、テレコム・イタリア傘下の基地局運営会社INWITを折半出資の合弁会社とする計画を条件付きで承認した。当初はイタリア国内の通信インフラ市場で公正な競争が阻害される恐れがあるとの見方を示していたが、両社が欧州委に提示した国内4,000基の通信塔を第三者に開放するなどの対応策を実行することを条件に、合弁計画を承認した。

テレコム・イタリアとボーダフォンは2019年2月、イタリアにおける通信インフラの共有で合意した。同国で第5世代携帯電話(5G)サービスを迅速かつ低コストで展開できるようにするのが狙いで、両社が保有する計2万2,000基の通信塔を統合するという内容。その後、両社はINWITを合弁会社とすることで合意し、今年1月に欧州委への届出を行った。

欧州委によると、両社は同委が競争上の懸念を表明した直後にインフラ共有計画を縮小し、人口の30%以上、利用されるデータ通信量の33%以上が集中する都市部を対象から除外した。さらに今回、居住者が3万5,000人を超える自治体にある計4,000基の通信塔を開放し、競合他社が基地局の設備を利用してモバイル通信サービスを提供できるようにすることを提案。このほか通信塔へのアクセス要求に迅速に対応するための手順を整備したり、第三者との間で問題が生じた場合に備えて紛争解決メカニズムを策定することなどが対応策に盛り込まれている。

欧州委は新たな提案によって通信インフラ市場で競争が阻害される恐れはなくなったと判断し、一連の対応策を確実に実行することを条件に基地局運営の合弁計画を承認した。

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