中国の複合企業・敬業集団は9日、経営破綻した英鉄鋼大手ブリティッシュ・スチールの買収が完了したと発表した。敬業集団はブリティッシュ・スチールの製鉄所の増強などに10年間で12億ポンドを投じ、同社の再建を進めていく。
ブリティッシュ・スチールは、英投資会社グレイブル・キャピタルがインド鉄鋼大手タタ・スチールの欧州条鋼事業を買収して発足した国内2位の鉄鋼企業。経営環境が悪化する中、政府が追加支援を拒否して資金繰りに行き詰まり、2019年5月に破綻に追い込まれた。
同社をめぐっては、トルコの複合企業オヤック・グループ傘下のアタエル・ホールディングが8月に買収で基本合意したが、実現に至らず、11月に敬業集団への身売りが決まった。買収額は5,000万ポンド(約68億円)と報じられている。
敬業集団はブリティッシュ・スチールの英、オランダの製鉄所を取得した。当初は仏アヤンジュにある製鉄所の取得も目指したが、同製鉄所がフランス国鉄のSNCFに鉄道レールを供給する企業であることから、同国政府が「国家の戦略的資産」として買収に難色を示し、実現しなかった。
敬業集団は声明で、アヤンジュ製鉄所の取得をめざし、今後も仏政府と協議を進める意向を表明した。
買収によってブリティッシュ・スチールの従業員は約450人が失職するものの、3,200人の雇用が維持される。