半導体大手の独インフィニオンは10日、米同業サイプレス・セミコンダクターを買収する計画が米国の対米外国投資委員会(CFIUS)から承認されたと発表した。中国の国家市場監督管理総局(SAMR)が承認すれば、買収のハードルはすべてクリアされ、サイプレスを傘下に収めることができる。
インフィニオンは昨年6月、サイプレスを買収することで合意した。長期の成長が見込める車載、IoT向け分野で事業を強化する狙い。買収が実現すると、同社は世界の半導体市場で8位となり、車載分野ではトップに躍り出る。
サイプレスを1株当たり23.85ドルで買収する。これは同計画発表前の30日間の加重平均株価を46%上回る水準で、サイプレスを90億ユーロと評価している。
両社の事業は補完性が高く、カルテル法上の問題はない。このためインフィニオンは当初、サイプレス株主と当局の承認を経て買収手続きが昨年末ないし今年初に完了すると見込んでいたが、CFIUSの承認がずれ込んだことから、買収とん挫の観測も浮上していた。
インフィニオンは移動通信インフラ向け半導体を手がける米ウルフスピードの買収計画をCFIUSの疑念で2017年に断念した経緯がある。