EU金融規制当局が空売り規制強化か、新型コロナによる株式市場動揺で

EUの金融規制当局である欧州証券市場監督機構(ESMA)は16日、投資家による株式の空売り残高の報告に関するルールを一時的に見直すと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で金融市場が大きく動揺していることを受けたもので、空売り規制強化の布石となる。

ESMAはEU内で取引される株式を売買する投資家に対して、空売り残高が対象銘柄の発行済み株式の0.2%を超える場合に報告を義務付けている。このルールを一時的に改正し、報告が必要となる残高の下限を16日から0.1%に引き下げた。

ESMAは株式を実際に保有せずに売り注文を出す投機的な空売りが新型コロナウイルス問題を受けて加速し、株安を増長させることを警戒し、今回のルール改正を決めた。より細かい情報を把握し、今後の対応を検討する。ESMAは声明で「予防的措置」とした上で、EU株式市場の混乱を避けるために必要であれば「より厳しい行動をとる」と述べ、空売り規制そのものの強化も辞さない構えを示した。

仏など4カ国は空売り禁止

一方、フランスとイタリア、スペイン、ベルギーの証券監督当局は17日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う株価の急落を受けて、空売りを一時的に禁止する措置を発動した。フランス、イタリア、ベルギーは同日限りの措置。スペインは1カ月間にわたって実施し、延長する可能性もある。

空売り禁止の対象はフランスが航空大手エールフランス―KLM、金融大手BNPパリバ、自動車大手ルノーなど有力株を中心とする92銘柄。イタリアは最大手銀行ウニクレディト、自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)など有力20銘柄、ベルギーは17銘柄となっている。スペインは全銘柄が対象となる。

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