新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化している欧州で、外出禁止や移動制限などの措置により、自動車の生産がほぼストップする事態に陥っている。欧州自動車産業は部品メーカーや販売店などを含めて1,300万人以上の雇用を抱えており、生産休止が長期化すると経済に深刻な影響が及ぶのは確実だ。
独BMWは18日、欧州の全ての工場を同日から当面4月19日まで閉鎖すると発表した。同社は主要市場で需要が落ち込んでいることを受け、2020年の販売台数が前年を大きく割り込むとの見通しを明らかにした。
フォルクスワーゲン(VW)は17日、欧州各地の工場とグループ傘下の部品工場の操業を一時停止すると発表した。ドイツ国内の工場では19日から2週間の停止を予定している。
ダイムラーも17日、欧州にある乗用車、トラック、商用車の工場を対象に、17日から順次操業を停止すると発表した。期間は2週間程度で、状況に応じて延長を検討すると説明している。
ポルシェはシュツットガルトの本社工場とライプツィヒ工場を、21日から2週間にわたり閉鎖する。当初は生産継続の意向を示していたが、サプライチェーンの供給不足と従業員の反発を受け、方針転換した。
一方、トヨタは18日、英国、ポーランド、チェコ、トルコにある工場で生産を休止すると発表した。18~21日にかけて順次稼働を止める。同社はすでにフランスとポルトガルの工場で操業を停止しており、欧州のほぼすべての工場で生産がストップする。
日産は21日までに、生産を一時停止しているスペインの工場の従業員約3,000人を一時解雇する方針を明らかにした。同じく操業を一時停止している英中部サンダーランド工場についても再開のメドは明らかにしていない。
仏ルノーは16日、フランス国内の12工場すべての操業を17日から無期限で休止すると発表した。グループPSAも同日、欧州にある15工場すべての操業を27日まで休止すると発表した。傘下の独オペルを含め、フランス、ドイツ、英国などの工場を順次閉鎖する。
また、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は16日、イタリア国内の6工場を含む主要8工場で27日まで生産を休止すると発表した。