EUが西バルカン諸国に緊急支援、新型コロナ対応に協力

欧州委員会は3月30日、EU加盟を目指す西バルカン諸国の新型コロナウイルス対応に協力するため、EUが総額3,800万ユーロの緊急支援を行うと発表した。これらの国を対象とする既存の支援の枠組みから3億7,400万ユーロを拠出し、新型コロナ終息後の社会・経済復興を支援することも決めた。

緊急支援は対象6カ国による医療機器、ウイルス検査キット、マスク、防護服の調達などに使われる。支援額は新型コロナ感染が同地域でもっとも深刻なセルビアが1,500万ユーロで最大。ボスニア・ヘルツェゴビナが700万ユーロ、コソボが500万ユーロ、アルバニアと北マケドニアがそれぞれ400万ユーロ、モンテネグロが300万ユーロとなる。

さらに欧州委は、マスクなど感染防護用品をEU加盟国が共同調達する制度への6カ国の参加を認めることも決めた。

EUに加盟していない西バルカン諸国では、EUが防護用品の域外への輸出制限を決めたことに反発し、ロシア、中国からの支援に頼る動きが出ていた。欧州委の今回の決定には、支援で同地域への影響力を強めようとする中・露に対抗する意図もあると目される。

欧州委は同時に、旧ソ連諸国との協力関係を強化する東方拡大戦略「東方パートナーシップ」の対象国であるウクライナ、ジョージア、モルドバ、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシの6カ国にも総額1億4,000万ユーロに上る同様の支援を実施すると発表した。