欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/9/1

EU産業・貿易

ヘアドライヤーなど小型家電に省エネ基準、9月から新規則導入

この記事の要約

EUでは9月1日付で電気掃除機の省エネ基準を定めた新規則が導入され、消費電力が1,600ワット以上の製品は域内での販売が禁止される。省エネ促進を目的とする規制強化に対して消費者の不満が高まるなか、新たにヘアドライヤーなど […]

EUでは9月1日付で電気掃除機の省エネ基準を定めた新規則が導入され、消費電力が1,600ワット以上の製品は域内での販売が禁止される。省エネ促進を目的とする規制強化に対して消費者の不満が高まるなか、新たにヘアドライヤーなど小型の家電製品が規制の対象になる可能性が出てきた。欧州委員会は製品のライフサイクル全体を通じて環境に配慮した設計を義務付けた「エネルギー関連製品のエコデザインに関する枠組み指令(ErP指令)」に基づき、製品別に省エネ基準の策定を進めており、来春にも新たな規則案が提示される見通しだ。

8月28日付の英デイリー・テレグラフ紙によると、小型家電製品に対する規制の導入案は、法制化に向けて欧州委が委託した調査報告書の原案に盛り込まれた。現行ルールではテレビ、洗濯機、冷蔵庫、掃除機などの家電製品が規制の対象となっており、小型家電は対象に含まれていない。報告書案はEU全体でさらに省エネを推進するため、電気ケトルやスマートフォンなど最大30品目に対象を拡大し、ヘアドライヤーについては消費電力を現在の水準より30%削減するよう勧告している。

業界団体などからは新規制の導入に反対する意見が出ている。英国理容師・美容師連盟のマーク・コレ元会長はテレグラフ紙の取材に対し、ヘアドライヤーに省エネ基準が定められて消費電力が抑えられた場合、髪を乾かすための使用時間が長くなり、全体としてみればさほど省エネ効果は期待できないと指摘。実際に省エネタイプのドライヤーを使用したところ、作業効率が著しく低下したと語っている。

欧州委のホルツァー報道官はこうした反応を受け、「ヘアドライヤーを規制の対象にすべきかどうかは議論の余地がある。報告書案は今後の検討に向けたたたき台で、最終報告では省エネ目標が30%からたとえば20%に引き下げられるかもしれない。いずれにせよ来年1月には最終的な勧告案がまとまり、そこから法制化に向けた議論がスタートすることになる」とコメントした。