英政府は20日、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けたスタートアップ企業などを対象とする新たな支援策を発表した。成長が見込まれるスタートアップ企業や研究・開発(R&D)を基盤とする中小企業に対し、官民合わせて総額12億5,000万ポンドの資金支援を行う。
政府は新型コロナ対策として、企業向けの緊急融資や一時帰休となった従業員の給与のうち80%を給付する支援策などを打ち出している。しかし、事業が軌道に乗る前のスタートアップや赤字経営のR&D型中小企業はこうした支援プログラムの対象外となっており、経営を維持するための資金支援を求める声が高まっていた。
発表によると、12億5,000万ポンドの内訳はスタートアップ向けが5億ポンド、R&D型企業向けが7億5,000万ポンド。スタートアップ向けの支援策は、新規事業向け融資を行う英国ビジネスバンク(BBB)が投入する2億5,000万ポンドと、民間資金2億5,000万ポンドを合わせて「未来ファンド(Future
Fund)」を創設し、5月にも1社あたり12万5,000~500万ポンドを融資するという内容。英国に登記された未上場企業で、過去5年間に民間から少なくとも25万ポンドを調達した実績を持つことが条件となる。
一方、R&D型中小企業に対しては、政府の研究資金助成機関「イノベートUK」の融資・助成制度を活用して資金支援を行う。財務省によると、既存の支援先である約2,500社の要望に応じて最大2億ポンドを提供するほか、より多くの企業を支援するため新たに5億5000万ポンドをイノベートUKに投入して融資や助成の枠を拡大する。5月中旬までに資金提供を開始する。
スナク財務相は声明で「新たなプログラムを通じ、全てのセクターで成長企業がこの困難な時期に必要な資金にアクセスし、引き続き斬新な発想で躍進することが可能になる」と述べた。