ノルウェーの格安航空会社(LCC)ノルウェー・エアシャトルは20日、パイロットと客室乗務員の管理を手がけるスウェーデンとデンマークの子会社が破産を申請したと発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ほぼすべての便の運航停止を迫られていることを受けたもの。約4,700人のパイロットと客室乗務員が解雇される見込みだ。
破産を申請したのはスウェーデンの2子会社とデンマークの2子会社。スペイン、英国、フィンランド、スウェーデン、米国でパイロットと客室乗務員の管理を担っている。
ノルウェー・エアシャトルは1993年に地域航空会社として設立され、2002年にLCCに転換した。オスロやストックホルムを拠点に、欧州内の主要都市を結ぶ短距離路線のほか、北アフリカ、中東、米国、アジア向けの中・長距離路線も展開し、欧州で3位のLCCに成長した。
しかし、同社は新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため世界各国が入国制限などを実施したことで、運航の85%が中止となっており、経営危機に直面している。
ノルウェー・エアシャトルのノルウェー事業は、同国政府の休業支援で持ちこたえており、同国で雇用する乗員は解雇を逃れている。同社は4子会社の存続に向けて、スウェーデンとデンマークの政府に同様の支援を求めたが、拒否された。このため4社は資金繰りに行き詰まり、破産申請に至った。
欧州では英国の地域航空会社フライビーが3月、新型コロナの影響で経営破綻していた。同国では有力実業家リチャード・ブランソン氏が率いるヴァージン・グループ傘下の航空大手ヴァージン・アトランティックも厳しい状況にあり、ブランソン氏は20日、政府の支援がなければ存続できなくなるとして、強い危機感を示した。