ダイソン製人工呼吸器が「不要」に、需要減で受注キャンセル

英家電メーカーのダイソンは、英政府の要請を受けて開発した人工呼吸器が不要になったことを明らかにした。英メディアが24日、一斉に報じた。同社はわずか10日で新型の呼吸器「CoVent」を開発したことで注目を集めたが、需要が当初の見込みを大幅に下回ったため、受注契約が解除されたという。

ダイソンは3月23日、英政府の要請を受けて人工呼吸器の開発を進めていると発表した。同社が投じた開発費は約2,000万ポンド(約27億円)とされ、国民保険サービス(NHS)から10万台を受注したと説明していた。

需要の減少に加え、ダイソンのCoVentは既存モデルとは異なる新設計であるため、承認プロセスに時間がかかったことも契約解除の一因との見方が出ている。ダイソンと同様に人工呼吸器の開発に着手した欧州航空機大手エアバスや米自動車大手フォードなどが参加する企業連合の製品は、既存モデルを土台にしているため既に当局が承認済み。英政府から2万台を受注し、これまでに250台以上を納入したとされる。

ダイソン創業者のジェームズ・ダイソン氏は「当社の製品は不要になったが、新型コロナの感染拡大を受けた英国の取り組みに貢献できたことについて後悔はない」と強調。英国以外でCoVentが活用される可能性はあるとして、引き続き承認の取得を目指す考えを示した。

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