英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の親会社であるインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は4月28日、新型コロナウイルスの感染拡大による大規模な運休で経営が急激に悪化していることを受けて、BAで最大1万2,000人の削減を計画していることを明らかにした。削減は全従業員の3割近い規模となる。
スペインのイベリア航空なども傘下に置くIAGが同日発表した2020年1~3月期の売上高は前年同期比13%減の46億ユーロ。営業損益は前年同期の黒字(1億3,500万ユーロ)から5億3,500万ユーロの赤字に転落した。
BAは一時休職となっている従業員の給与の一部を政府が負担する雇用支援策の適用を受け、解雇を避けてきた。しかし、エールフランスKLMに対する仏、オランダ政府の融資のような経営支援には政府が及び腰で、資金繰り改善の目途が立っていない。4月以降に業績が一段と悪化するのが確実なことから、大規模な人員整理に踏み切らざるを得ない状況に追い込まれた。
SAS、ライアンエアーも人員削減
欧州の航空業界では、スカンジナビア航空(SAS)も同日、正社員の約半数に相当する最大5,000人を削減すると発表。さらに、最大の格空会社(LCC)であるアイルランドのライアンエアーが1日、全従業員の約15%に当たる最大3,000人の削減を計画していると発表した。
ライアンエアーは3月24日から「ほぼ全便」が運休している。同状況が少なくとも7月までは続き、旅客需要が通常のレベルに戻るまで22年夏までかかると判断。大規模なリストラに踏み切る。
削減の対象となるのはパイロットと客室乗務員。このほかコスト節減策として、給与を最大20%削減することなども打ち出した。