英製薬大手アストラゼネカは4月30日、英オックスフォード大学が進める新型コロナウイルスのワクチン開発プログラムに参加し、開発・製造・供給で協力すると発表した。同大の研究チームは既に臨床試験を開始しており、安全性や有効性が確認できれば年内に量産を始める計画だ。
オックスフォード大で開発中のワクチンは、同大のジェンナー研究所が1月に設計に着手し、オックスフォード・ワクチン・グループの主導で4月23日から臨床試験が行われている。18歳~55歳の約500人を対象とした治験のデータは5月中に出揃う見通しで、6月までにより広範な治験が実施される予定だ。
アストラゼネカは治験の結果を見極めたうえで、早ければ年内に1億回分のワクチンを製造する計画。パスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO)は「うまくいく可能性はかなり高いと思う。新型コロナウイルスから人々を守るため、オックスフォード大と協力して世界規模でワクチンの供給を加速させることができると考えている」と述べた。
英政府はワクチン開発を後押ししており、オックスフォード大に200万ポンド(約27億円)の助成金を交付すると表明した。また、通常は1年~1年半を要する治験の迅速化や早期の量産化を可能にするため、規制の弾力的運用など必要な措置を講じる方針を打ち出している。