スイス保険大手のチューリッヒ・インシュアランス・グループは14日、新型コロナウイルス感染症の世界的流行に関連した損害保険の請求額が2020年は約7億5,000万ドルに達するとの見通しを明らかにした。感染拡大を受けた都市封鎖などの影響で保険請求額が増大しており、第1四半期は2億8,000万ドルを計上した。
外出制限や社会的距離の確保といった感染拡大防止策により、世界各地で企業活動が停止したり、各種イベントや旅行などが中止に追い込まれる中、保険会社は高額な保険金支払いに直面している。英ロイズ保険組合は14日、新型コロナに関連した生命保険以外の保険金請求額が20年に世界全体で1,070億ドルに達し、投資損失も960億ドルに上るとの見通しを示した。
チューリッヒが試算した保険請求額は、大型ハリケーンなど相次ぐ大規模自然災害で約7億ドルの保険金を支払った17年に匹敵する水準。ジョージ・クイン最高財務責任者(CFO)は第1四半期の業績報告で、「新型コロナに関連した支払い請求と第1四半期後半の金融市場の急激な悪化は、引き続き20年の業績に影響を及ぼすだろう」と指摘。そのうえで「グループの支払い能力は依然として高い水準にあり、事業の多様性と堅実な財務運営で現在の困難な状況を乗り切ることができると確信している」と強調した。