英政府は19日、EU離脱後の移行期間が終了した後に導入する新たな関税制度「UKグローバル・タリフ(UKGT)」の概要を発表した。EUが第三国に対して設定している対外共通関税に代わり、2021年1月から英独自の関税率を適用する。
UKGTではEUの関税制度と比べて品目分類や課税体系が大幅に簡素化され、対外共通関税率が2%未満の品目は税率をゼロとする。具体的にはネジやボルトをはじめとする工業製品の部品、塗料、食洗器や冷凍庫など幅広い品目で関税を撤廃。発光ダイオード(LED)照明や真空フラスコなど、エネルギー効率の向上に貢献する製品も無関税とする。これにより、およそ620億ポンド相当の輸入品にかかる関税が撤廃され、関税ゼロ品目の割合は輸入額ベースで現在の47%から60%に拡大する。
一方、国内産業を保護するため、基幹産業の自動車については10%の関税を維持。水産・農畜産品、セラミック製品なども現行の税率を維持する。
トラス国際貿易相は「新たな関税制度は煩雑な手続きを簡素化し、数千品目に及ぶ日用品のコストを引き下げることで、国内の消費者と一般家庭に恩恵をもたらすと強調した。
ただ、物品貿易を無関税とすることを柱としたEUとの自由貿易協定(FTA)交渉は難航している。移行期間内に妥結できなければEUからの輸入品にも新制度に基づく税率が適用され、食品や自動車を含む幅広い品目で価格上昇を招くことになる。