英政府は22日、新型コロナウイルスの感染拡大防止策の一環として、自国民を含む入国者に対し14日間の自主隔離を義務付けると発表した。6月8日から実施し、違反した場合は1,000ポンド(約13万円)の罰金を科す。欧州の周辺国で国境封鎖を段階的に緩和する動きが出始める中、英国は社会・経済活動の再開に伴い今後入国者が増えると予測。感染が再拡大する第2波に備えて水際対策を強化する。
入国者はまず当局に国内での滞在先を報告しなければならない。自宅など隔離に適した滞在先がない場合、政府が用意した施設に収容される。隔離中は公共交通機関の利用が禁止され、食料や生活必需品を調達するための外出も厳しく制限される。抜き打ちでチェックを行い、申告した滞在場所にいないなど違反が発覚した場合は罰金を科すほか、違反を繰り返した場合は訴追される可能性もある。
一方、英領北アイルランドと国境を接するアイルランドからの入国者は隔離の対象から除外される。医療関係者や物流を担う輸送業者、季節雇用の農業従事者も隔離措置が免除される。
英国は感染拡大の初期段階に中国からの入国を制限したものの、その後は入国制限に慎重だった。パテル内相は記者会見で「国境を封鎖するわけではない」と強調。そのうえで「感染拡大のピークは過ぎたが、国外からの流入によって感染が再拡大するのを防がなければならない」と説明し、今後は国内の感染状況を踏まえ、3週間ごとに隔離措置の有効性を検証すると述べた。
ただ、経済の再開に向けた動きが本格化し始めた段階で厳しい規制を導入することに対し、航空業界は強く反発している。格安航空会社ライアンエアーのマイケル・オレアリー最高経営責任者(CEO)は「この段階になって隔離措置を実施する意味はない。政府が経済再開を目指しているのであれば最悪の対応だ」批判した。