欧州の鉄鋼メーカーの業界団体である欧州鉄鋼連盟(EUROFER)は8日、EUに鉄鋼製品の緊急輸入制限(セーフガード)措置を強化するよう要請した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で需要が減り、欧州の鉄鋼業界が厳しい状況に追い込まれていることを受けたもので、非関税の輸入枠を削減するよう求めている。
EUは2018年、米国による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限への対抗措置として、セーフガードを発動した。米市場から締め出された鉄鋼製品が大量にEU市場に流入し、域内の鉄鋼メーカーに大きな損害を与えるのを防ぐのが狙い。26品目を対象に、輸入量が一定水準を超えれば25%の関税を課している。
EUはセーフガード措置を7月までに非関税の輸入枠を見直すことになっている。EUROFERは声明で、新型コロナによる経済活動の停滞で、EU域内の鉄鋼需要が3月以降に50%減少し、関連企業の従業員の40%か解雇されたか、パートタイム雇用に切り替えられたと指摘。域外からの安価な鉄鋼製品の流入が拡大すれば、域内メーカーが一段と圧迫されるとして、見直しに際して非関税の輸入枠を大幅に削減するようEUに要請したことを明らかにした。