日英通商交渉がスタート、来年1月の発効目指す

日英両政府は9日、新たな通商協定の締結に向けた交渉を開始した。茂木敏充外相とトラス国際貿易相がテレビ会談を行い、早期の合意に向けて取り組む方針で一致した。日本とEUが結んだ経済連携協定(EPA)を土台に交渉を進め、2021年1月の発効を目指す。

英国は今年1月にEUを離脱しており、現在は経済・社会の激変緩和を目的とする移行期間にある。12月末に移行期間が終了すると、日英間では日欧EPAに基づく関税の優遇措置が適用されなくなるため、双方は新協定の年内妥結に向けて協議を進める。

トラス氏は会談に先立ち、「データ移転を含むデジタル貿易やサービス分野を盛り込み、日欧EPAを上回る協定の締結を目指す」と強調。また、英国は日本など11カ国による環太平洋経済連携協定(TPP)への参加も視野に入れており、トラス氏は「日本との新協定は英国のTPP加入に向けて弾みとなる。英国企業にとって貿易先の拡大や経済成長が可能になる」と述べた。英側はこのほか農産品や繊維製品、金融サービスなどの分野で有利な条件を引き出したい考えだ。

一方、日本側では自動車関税の早期撤廃や農産品の輸入数量割当などが焦点となる。日欧EPAでは発効から8年目に日本車に対する関税が撤廃されることになっている。梶山弘志経済産業相は9日、自動車や自動車部品を中心に「できる限りの関税撤廃期間の前倒しを目指したい」と述べた。

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