欧州委員会は3日、米バイオ医薬品企業ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬「レムデシビル」について、新型コロナウイルス感染症の治療薬として条件付きで承認したと発表した。EUで正式に承認された最初の新型コロナ治療薬となる。
レムデシビルはウイルスの増殖を抑える働きがあり、酸素吸入が必要な重症患者に静脈注射で投与される。欧州医薬品庁(EMA)は6月25日、新型コロナで肺炎を発症し、人工呼吸器などが必要な12歳以上の患者に投与する治療薬としてレムデシビルの承認を勧告した。欧州委の決定はこれに沿ったもの。米国と日本の薬事当局は既にレムデシビルを承認しており、日米欧で患者への投与が可能になる。
これに先立ち、欧州委は1日、レムデシビルをEU加盟国向けに確保するため、ギリアドとの間で交渉を進めていることを明らかにした。レムデシビルを巡っては、米政府が6月29日、ギリアドとの交渉で7月~9月の生産分のうち92%を確保したと発表。これを受けて英国とドイツも1日、それぞれ自国向けに十分な量を確保していると表明した。
米国の買い占めによって世界的にレムデシビルが供給不足に陥るとの懸念が広がる中、欧州委は同薬の正式承認に先立ち、ギリアドとの交渉に入ったと表明。同委の報道官は「加盟国向けに必要な量を確保するため、キリアキデス委員(保健担当)が生産能力を含めた多角的な協議を進めている」と述べた。