EU統計局ユーロスタットが6月30日に発表したユーロ圏の同月のインフレ率(速報値)は前年同月比0.3%となり、前月の0.1%を0.2ポイント上回った。新型コロナウイルス感染拡大を受けて実施されてきた経済・社会活動の制限が緩和されつつあることや、エネルギー価格の下落のペースが緩やかになったことで物価が持ち直した。ただ、基調は依然として弱く、当面は低空飛行が続きそうだ。(表参照)
ユーロ圏のインフレ率は2月から4カ月連続で縮小。5月は4年ぶりの低水準となっていた。上向きに転じたことで、デフレ突入の懸念はとりあえず遠のいた。
分野別ではエネルギーの下落率が9.4%と、前月の11.9%から縮小した。工業製品は横ばいのプラス0.2%。サービスはプラス1.2%で、前月の同1.3%を下回った。ECBが金融政策で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は0.8%で、前月から0.1ポイント縮小した。
主要国はドイツが0.8%で、前月から0.3ポイント拡大した。フランスは0.4%から0.1%に縮小。イタリアはマイナス0.4%、スペインは同0.3%と下落が続いている。