英政府は3日、新型コロナウイルス感染拡大防止策として英国入国時に義務付けていた14日間の自主隔離を10日から解除すると発表した。欧州諸国や日本など59カ国・地域からイングランド地方への渡航が対象。人口の約85%を占める同地方では4日からレストランやパブ、ホテルなどの営業も再開し、コロナ禍からの経済活動の再開が本格化してきた。
英国では新型コロナの水際対策として、6月8日から自国民を含む入国者に14日間の自主隔離を義務付け、違反した場合は1,000ポンド(約13万円)の罰金を科してきた。欧州の周辺国で国境封鎖を段階的に緩和する動きが出始める中、社会・経済活動の再開に伴う入国者の増加で感染が再拡大する第2波に備える狙いがあった。
隔離措置が解除されるのはフランス、ドイツ、イタリア、スペインなど近隣の欧州諸国のほか、日本、韓国、台湾、オーストラリア、ニュージーランドなど。一方、米国やブラジル、スウェーデン、ロシア、インド、中国などは除外された。
ジョンソン首相は記者会見で「これまでのような国全体を対象とする施策から、感染状況や医療体制などに応じて地域ごとに対象を絞った対策にシフトする」と説明した。シャッブス運輸相は「慎重に国境を再開する次の段階を迎えた。英国の産業界にとって素晴らしいニュースだ」と強調。隔離解除の対象となった国・地域に対し、英国に対しても同様に渡航制限を緩和することを期待すると述べた。
英国では6月15日からデパートなど小売店が営業を再開した。イングランド地方では4日から飲食店や宿泊施設のほか、美術館、映画館、理美容室、テーマパークなどの営業が3カ月半ぶりに解禁された。一方、ナイトクラブや室内ジム、水泳プールなどは休業が続いている。