ビジネスチャットアプリ「スラック」を展開する米スラック・テクノロジーズは22日、米マイクロソフトが市場支配的地位を乱用して公正な競争を阻害しているとして、欧州委員会に苦情を申し立てたと発表した。欧州委は申し立ての内容を確認し、マイクロソフトに対する調査を開始するかどうか判断する。
スラックが問題視しているのは、マイクロソフトが2017年に投入したビジネス向け協業アプリ「チームズ(Teams)」。新型コロナウイルス感染拡大を受けた在宅勤務の広がりで世界的にビデオ会議サービスの需要が急拡大する中、ビデオチャット機能を備えた同アプリは急速に利用者を増やしている。
スラックはマイクロソフトが市場シェアの高い業務ソフト「オフィス」とチームズを「違法に連結させてユーザーにインストールを強要し、削除するのを妨げている」と指摘。デービッド・シェルハウス法務統括責任者は記者会見で、かつてマイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」とウェブブラウザ「インターネットエクスプローラ」のセット販売が競争法違反と認定された件に触れ、「マイクロソフトは過去の行動を繰り返している。当社が要求しているのはチームズをオフィスから切り離し、適正な価格で個別に販売することだ」と述べた。
マイクロソフトの広報担当者は「ユーザーの要求に対応するため、動画によるチームコラボレーションを可能するチームズを開発した。コロナ禍でチームズは記録的な成長を遂げたが、ビデオ会議機能が弱いスラックは伸び悩んだ」と指摘。「マイクロソフトはユーザーに革新的な製品を提供するだけでなく、購入方法や利用方法についても幅広い選択肢を用意している」と強調し、欧州委の求めに応じて積極的に情報提供する姿勢を示した。