アストラゼネカのコロナワクチン、初期治験で免疫反応

英製薬大手アストラゼネカは20日、英オックスフォード大学と開発を進めている新型コロナウイルスのワクチンについて、初期段階の臨床試験(治験)で強い免疫反応が確認されたと発表した。同社は9月にも供給を開始する方針を示しており、新型コロナ対策として早期の実用化に期待が高まっている。

英医学誌「ランセット」に掲載された研究成果の論文によると、アストラゼネカとオックスフォード大が4~5月に18~55歳の1,077人に開発中のワクチン「AZD1222」を投与したところ、ほとんどの被験者の体内で新型コロナの抗体とT細胞による「強い免疫反応」が確認され、2回投与したグループでは全員に免疫反応が生成された。深刻な副反応は出ておらず、現在は第3段階の臨床試験で有効性などの検証が進められている。

アストラゼネカはAZD1222について、来年にかけて20億回分の生産が可能になるとの見通しを示しており、これまでに英国に1億回分、米国に3億回分、ドイツ・フランス・イタリア・オランダの4カ国で構成する「ワクチン同盟」にも最大4億回分を供給することで合意している。日本へも最大1億回分の供給に向けて交渉が進められている。

一方、中国の康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)も20日、開発中の新型コロナ向けワクチンについて、第2段階の治験で効果を確認したと発表した。ランセットに掲載された論文によると、4月中旬に湖北省武漢市で508人にワクチンを投与したところ、大部分の被験者で免疫反応が確認された。被験者の77%で発熱や注射部位の腫れなどの症状が出たものの、深刻な副反応は認められなかったという。

さらに米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬品企業ビオンテックも20日、細胞の中で遺伝情報を転写するメッセンジャーRNA(mRNA)を用いたワクチンについて、ドイツで成人60人を対象に実施した治験で良好な結果が得られたと発表した。両社は今月1日、米国で実施した初期段階の治験で有効性や副作用への耐用性が確認されたと発表しており、今回も同様の結果が得られたことで、月内にも最大3万人が参加する大規模な治験を開始する方針を示している。

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