イタリア大手銀行インテーザ・サンパオロは7月28日、国内5位銀行のUBIバンカに対する株式公開買い付け(TOB)で、同社の株式72%を確保したと発表した。これによってインテーザによるUBI買収が確定した。
インテーザは2月、UBIバンカに買収を提案したと発表した。提案はUBIを全額株式交換方式で買収するという内容で、UBIの株式1株とインテーザの新株1.7株を交換する。当時の株価で計算すると、1株当たりの買い取り価格は4.25ユーロで、提案を発表した前日の終値に27.6%を上乗せした水準となる。
これに対して、国内中堅銀行のトップに立ち、優良経営で知られるUBIは、買収条件を不満として拒否。株主の多くも同調したため、インテーザは6日に開始したTOBで苦戦を強いられていた。
こうした状況を受けて、インテーザは17日に買収条件を見直し、株式交換に加えてUBIの株式1株につき0.57ユーロの現金を支払うと発表した。これによって買収額が約6億5,000万ユーロ引き上げられたことで、株主の切り崩しに成功。過半数を大きく上回る株式を確保した。期限の30日までに追加で応募があり、確保した株式は90.2%に達した。
当初の全額株式交換方式での提案では、全株を取得した場合の買収額は約49億ユーロだった。その後に新型コロナウイルス感染拡大の影響で株価が下落したため、現金での買い取りを含めても42億ユーロ程度に縮小する。
イタリアでは銀行が乱立状態にあり、競争で疲弊していることから、金融当局が統合を提唱していた。インテーザはこれに呼応し、UBI買収に乗り出した。買収が実現すると、資産総額でユーロ圏7位の銀行が誕生する。