英政府は7月29日、仏製薬大手サノフィと英グラクソ・スミスクライン(GSK)が共同で開発中の新型コロナウイルスのワクチンを、最大6,000万回分確保したと発表した。契約額は公表されていない。臨床試験で有効性が確認された場合、2021年夏にも医療従事者などへの接種を開始するという。
英政府が新型コロナのワクチン確保に向けて締結した契約はこれが4件目。これまでに英アストラゼネカと英オックスフォード大が開発するワクチンを1億回分確保しているほか、仏バルネバから6,000万回分、米ファイザーと独ビオンテックから3,000万回分を確保済み。このうちアストラゼネカとオックスフォード大のワクチンは初期段階の治験で強い免疫反応が確認されており、早ければ9月にも供給が始まる見通しとなっている。
世界保健機関(WHO)によると、世界では160以上のワクチン開発が進められており、このうち人に対する治験が行われているのは24種類。これまでのところアストラゼネカのほか、ファイザーとビオンテック、および中国の康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)のワクチンが治験で免疫反応が確認されている。ただ、実際に有効性が証明されたワクチンはないため、先進国は複数の製薬会社と契約を結んで自国分の先行確保を急いでいる。
英政府はEUのワクチン購入プログラムには参加せず、独自にワクチン確保を進めている。シャーマ・ビジネス・エネルギー・産業戦略相は「複数のワクチン候補を早期に確保することで、有効なワクチンを入手する機会が増える」と発言。第2波以降の流行に備えて十分なワクチン確保に努める意向を示した。