英石油大手BPは4日、化石燃料への依存度を段階的に低減し、新エネルギー分野の事業拡大を加速させる方針を発表した。2030年までに石油とガスの生産量を4割縮小する一方、低炭素エネルギー分野への投資を現在の10倍に拡大し、国際石油会社から総合エネルギー企業への転換を目指す。
BPは今年2月、事業活動で生じる温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする目標を打ち出している。今回示したのは9月に発表する長期事業戦略の一部で、目標達成に向けて石油依存からの脱却を鮮明にした。
バーナード・ルーニー最高経営責任者(CEO)はオンライン会見で、石油需要の長期低迷を想定し、化石燃料に代わる新エネルギー分野に軸足を移して「顧客に最適なソリューションを提供する総合エネルギー企業」への転換を図ると強調。「30年までにBPは全く別の企業になっているだろう」と語った。
発表によると、BPは30年までに新エネルギー分野への投資額を現在の年間5億ドルから50億ドルに拡大するとともに、再生可能エネルギーによる発電量を2.5ギガワット(GW)から50GWに増やす。さらにバイオ燃料の生産量を現在の1日当たり2万2,000バレルから10万バレルに引き上げるほか、電気自動車の充電スタンドも7,500カ所から7万カ所に増やす。
一方、BPは気候変動に対する世界的な取り組みにより、化石燃料に対する需要は今後30年間で75%縮小すると試算。石油・ガスの生産量を30年までに1日当たり150万バレルと、19年の260バレルから4割超減らすと表明した。これに伴い、石油・ガスの精製施設などを削減する計画で、25年までに250億ドル規模の資産を売却する方針を示している。
こうした中でBPは4日、第2四半期決算の最終損益が67億ドルの赤字となったことを受け、10年ぶりの減配を発表した。新型コロナウイルスの世界的流行による需要の落ち込みで石油事業が深刻な打撃を受け、174億ドルの減損損失を計上した。